Liveに限らず、おそらくはどのDAWにもあるであろう【センド/リターン】という機能のお話。
もしかしたらあまり使ってない方もいるかもですが、出来れば使えるようになることをおススメします。
基本的に、Mix時に使うことが多い機能ですが、ライブパフォーマンスでも使える機能かと。
基礎知識
基礎の基礎
センド/リターンを説明する前に、まずは基本的な音の流れを軽く押さえておきましょうか。
【トラック1,2,3・・・に入ってる音はMasterトラックを経てスピーカーなどで聴く音】になります。
これが基本中の基本です。
エフェクトを使う場合は。
トラック1,2,3・・・やMasterトラックに入れる他に、もう1つあります。
それが【センド/リターン】です。
リターントラックにはエフェクトだけが入っていて、音やMIDIは入っていません。
各トラックから送られた音にエフェクトを掛けてマスタートラックに送るのが仕事です。
図にするとこんな感じ。
【リターントラック】と呼ばれるトラックに音を送ることを【センド】。
【リターントラック】から音を戻すことを【リターン】と呼びます。
(Live9の場合です。他のDAWは違う表記かもしれません)
使い方
基本の手順は
- リターントラックにエフェクトを入れる
- トラックからリターントラックに送りたいだけ送る
これだけ。
エフェクトのかかり具合はどれだけ送るか、で調整します。
Live9の場合だとこんな感じになります。
ステレオトラックはこちらを再生で。
なぜ必要?
『てか、なんで一々センド/リターンするの?』
『エフェクトはトラックそれぞれに入れて使えばいいんぢゃね?』
と思う人もいるかもしれませんが、まあ当然の疑問ですよね。
が、これにはちゃんと理由があります。
理由は大きく分けて2つ。
- DAWの負荷を軽く
- 原音とエフェクト音の混ざり具合
DAWの負荷を軽く
Mix時に多く使うエフェクトってのがあるんです。
それは【リバーブ】や【ディレイ】などです。
リバーブをかけて広がりを出したりショートディレイをかけて音を太くしたり、なんていう方法があるんですが、これは複数のトラックに使われます。
『複数のトラックに同じエフェクトを掛けるなら、1つのエフェクトを複数のトラックで使えばいいんじゃない?』
って頭のいい誰かが思いついたんでしょうねぇ。
あるいはミキサーについているエフェクト機能(センド/リターン)をDAWに持ち込んだのかもしれません。
いずれにせよ、DAWにはセンド/リターンが搭載されました。
これによって、DAWの動きが軽くなるという結果をもたらしました。
現在、PC/Macのパワーは強くなりましたがそれでも不意のフリーズに襲われることもあるし、強制シャットダウン(いわゆる「落ちる」)に見舞われることもあります。
センド/リターンを上手く使うことによって、落ちるのを避けやすくなるというメリットがあるんですね。
ちなみに、EQやコンプもよく使うエフェクトですが、こちらはあまりセンド/リターンで使われません。
EQやコンプは音(トラック)によって設定が大きく変わるのでセンド/リターンには向かないというか、単純に使いづらいんです。
でも【音楽は結果オーライ】ですから、センド/リターンにEQやコンプをぶち込んでいい曲が出来れば、それはそれでもちろんOKです。
原音とエフェクト音の混ざり具合
リバーブやディレイを使い慣れてない場合、必ずと言っていいほど陥る罠があります。
それが【原音とエフェクト音の混ざり具合】です。
【原音】とは文字通りエフェクトがかかってない音です。
【エフェクト音】も文字通りで、エフェクトがかかった音です。
リバーブやディレイなど、空間系と呼ばれるエフェクトには設定項目の中に【原音とエフェクト音の混ざり具合】を決めるパラメーターがあります。
【Dry/Wet】と表示されている項目がそれです。
ここを上手く調整していい具合にするんですが、実はこれがなかなか難しいんです。
センド/リターンの場合、原音は常に元のトラックから出てますから、エフェクト音をどれだけ増やすかで調整していく感じになります。
トラックに個別にかける場合はDry/Wetを使うわけですが、Dry(原音)を増やすと同時にWet(エフェクト音)が減り、Wetを増やすと同時にDryが減ります。
文字で見ると同じように感じますが、実際やってみると『???』となりがちなんですよ、これが。
Mix時のやりやすさは圧倒的にセンド/リターン、だと僕は思ってます。
さて、長々と書きましたがセンド/リターンはどんなものなのかお分かりいただけたでしょうか?
ちなみにLiveの場合はLive Introは2トラック、StandardとSuiteは12トラック使えます。
使いこなせばけっこう面白いこと出来ますよ。
‡ポイント‡
DAWの負荷を軽くする。
原音とエフェクト音の混ざり具合が決めやすい。