Live9で曲を創る Track.20『センド・リターン』

Live9で曲を創る Track.20『センド・リターン』

Liveに限らず、おそらくはどのDAWにもあるであろう【センド/リターン】という機能のお話。
もしかしたらあまり使ってない方もいるかもですが、出来れば使えるようになることをおススメします。
基本的に、Mix時に使うことが多い機能ですが、ライブパフォーマンスでも使える機能かと。

サウンドハウス

基礎知識

基礎の基礎

センド/リターンを説明する前に、まずは基本的な音の流れを軽く押さえておきましょうか。

【トラック1,2,3・・・に入ってる音はMasterトラックを経てスピーカーなどで聴く音】になります。
これが基本中の基本です。

エフェクトを使う場合は。
トラック1,2,3・・・やMasterトラックに入れる他に、もう1つあります。
それが【センド/リターン】です。

リターントラックにはエフェクトだけが入っていて、音やMIDIは入っていません。
各トラックから送られた音にエフェクトを掛けてマスタートラックに送るのが仕事です。

図にするとこんな感じ。

Live9で曲を創る Track.20『センド・リターン』

【リターントラック】と呼ばれるトラックに音を送ることを【センド】。
【リターントラック】から音を戻すことを【リターン】と呼びます。
(Live9の場合です。他のDAWは違う表記かもしれません)

使い方

基本の手順は

  1. リターントラックにエフェクトを入れる
  2. トラックからリターントラックに送りたいだけ送る

これだけ。
エフェクトのかかり具合はどれだけ送るか、で調整します。

Live9の場合だとこんな感じになります。

センド&リターン! Send&Return! #ableton #Live9 #effect

akimさん(@akim.is.bassist)が投稿した動画 –

ステレオトラックはこちらを再生で。

なぜ必要?

『てか、なんで一々センド/リターンするの?』
『エフェクトはトラックそれぞれに入れて使えばいいんぢゃね?』
と思う人もいるかもしれませんが、まあ当然の疑問ですよね。

が、これにはちゃんと理由があります。
理由は大きく分けて2つ。

  • DAWの負荷を軽く
  • 原音とエフェクト音の混ざり具合

DAWの負荷を軽く

Mix時に多く使うエフェクトってのがあるんです。
それは【リバーブ】や【ディレイ】などです。
リバーブをかけて広がりを出したりショートディレイをかけて音を太くしたり、なんていう方法があるんですが、これは複数のトラックに使われます。

『複数のトラックに同じエフェクトを掛けるなら、1つのエフェクトを複数のトラックで使えばいいんじゃない?』
って頭のいい誰かが思いついたんでしょうねぇ。
あるいはミキサーについているエフェクト機能(センド/リターン)をDAWに持ち込んだのかもしれません。
いずれにせよ、DAWにはセンド/リターンが搭載されました。

これによって、DAWの動きが軽くなるという結果をもたらしました。
現在、PC/Macのパワーは強くなりましたがそれでも不意のフリーズに襲われることもあるし、強制シャットダウン(いわゆる「落ちる」)に見舞われることもあります。
センド/リターンを上手く使うことによって、落ちるのを避けやすくなるというメリットがあるんですね。

ちなみに、EQやコンプもよく使うエフェクトですが、こちらはあまりセンド/リターンで使われません。
EQやコンプは音(トラック)によって設定が大きく変わるのでセンド/リターンには向かないというか、単純に使いづらいんです。
でも【音楽は結果オーライ】ですから、センド/リターンにEQやコンプをぶち込んでいい曲が出来れば、それはそれでもちろんOKです。

原音とエフェクト音の混ざり具合

リバーブやディレイを使い慣れてない場合、必ずと言っていいほど陥る罠があります。
それが【原音とエフェクト音の混ざり具合】です。

【原音】とは文字通りエフェクトがかかってない音です。
【エフェクト音】も文字通りで、エフェクトがかかった音です。

リバーブやディレイなど、空間系と呼ばれるエフェクトには設定項目の中に【原音とエフェクト音の混ざり具合】を決めるパラメーターがあります。
【Dry/Wet】と表示されている項目がそれです。
ここを上手く調整していい具合にするんですが、実はこれがなかなか難しいんです。

センド/リターンの場合、原音は常に元のトラックから出てますから、エフェクト音をどれだけ増やすかで調整していく感じになります。
トラックに個別にかける場合はDry/Wetを使うわけですが、Dry(原音)を増やすと同時にWet(エフェクト音)が減り、Wetを増やすと同時にDryが減ります。
文字で見ると同じように感じますが、実際やってみると『???』となりがちなんですよ、これが。

Mix時のやりやすさは圧倒的にセンド/リターン、だと僕は思ってます。

さて、長々と書きましたがセンド/リターンはどんなものなのかお分かりいただけたでしょうか?
ちなみにLiveの場合はLive Introは2トラック、StandardとSuiteは12トラック使えます。
使いこなせばけっこう面白いこと出来ますよ。

‡ポイント‡
DAWの負荷を軽くする。
原音とエフェクト音の混ざり具合が決めやすい。




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