DAWは基本的にマウスとキーボードで操作します。
まあ、PCソフトですからそういう設計になりますよね。
でもマウスとキーボードだけだと操作がしづらい場面に出くわすのもDAWによる音楽制作。
マウスとキーボードの限界
曲をフェードアウトで終わらせよう、と思ったとします。
MTRだと、マスターボリュームのフェーダー(つまみ)を下げていけばこの作業は終了です。
音を聴きながらフェーダーを上げ下げすればいいわけですから、おそらくはとても自然な、思い通りなフェードアウトが出来上がると思います。
しかし、マウスでこの作業をしようと思うと、実はなかなかに厄介。
マウスで画面上のフェーダーを上げ下げするわけですが、マウスって実はそんなに思い通りには動いてくれません。
慣れてしまえばどうってことはありませんが、DAWを使い始めた頃だと『あぁ!上手くいかない!!』となってしまうことも多々あるわけで。
Track makeやMixなど、スタジオにこもっての作業であればフェーダーの上げ下げに失敗してもやり直せばいいんですが、Djなどリアルタイムでお客さんに音を聴かせる立場の人だとそうはいきません。
フェーダーの上げ下げがそのままお客さんのノリにつながり、お客さんのノリはDj自身の評価につながりますから。
じゃあ、どうしましょ?
フィジカルコントローラー
『マウスとキーボードで操作しきれないのなら、ミキサーをPCとつなげればいいんじゃない?』という発言が会議であったのかどうかは知りませんが、PC(DAW)につなげられるミキサーが誕生しました。
それが“フィジカルコントローラー”です。
この機械の登場により、DAWをMTRのように指先で操ることが可能になったわけですね。
フィジカルコントローラー、略してフィジコン。
これを使えば、機種によるとは言えど、フェーダーだけではなくPANのつまみやエフェクターの効き具合をフィジコンで操ることも可能です。
マウスとキーボードだけでDAWを操るのとはかなり変わります。
これがあれば例として上にあげたフェードアウトも至極自然に仕上げることも容易いはず。
Djのような、リアルタイムでの作業を求められる場合も楽になりますよ、きっと。
ちょっとお得
フィジコンやMIDIコントローラー(下記)を買うと○○liteのような機能限定版のDAWがくっついてくることがよくあります。
で、この機能限定版は通常版の下に位置する廉価版という扱いが多いので、通常版にするのにアップグレード価格が適用される場合があるんです。
フィジコンを導入することを決めてる場合はまずフィジコンを買って、機能限定版で操作を覚えてから通常版にアップグレードするという手があります。
“通常版+フィジコン”よりも“フィジコン+機能限定版をアップグレード”の方が安く済んだりしますよ。
似た言葉
フィジコンと似た意味、あるいは同義で使われる言葉があります。
それが“MIDIコントローラー”と“コントロール・サーフェス”です。
MIDIコントローラー
DAWのミキサー部分を操るのがフィジコンなのに対し、DAW内の楽器(ソフト音源)を操るのがMIDIコントローラーになります。
MIDIキーボードなんかもMIDIコントローラーの1種と言えますね。
MIDIコントローラーにフィジコンの機能がないわけでもなく、機種によってはフィジコンとして使うことも可能です。
ちなみに、打ち込みをする際、MIDIコントローラーの鍵盤やパッドにタッチレスポンス(押し方の強さや揺れなどを感知する機能)がついていると打ち込み作業が非常に楽になります。
コントロール・サーフェス
フィジコンとほとんど同じ意味として扱われています。
細か~い使い分けが業界ではなされているのかもしれませんが、楽器屋さんで『コントロール・サーフェスください』と言っても『フィジコンください』と言っても、連れて行かれるのは同じ売り場だと思います。
まあ、僕個人が知ってる限りではMTRの機能の1つとして「コントロール・サーフェス搭載」ていうのは見たことありますが「フィジカルコントローラー機能搭載」ていうのは見た記憶がないので、その程度の使い分けなのかもしれません。
コントロール・サーフェス搭載のMTRを買って『このMTR、フィジコンとしても使えるんだよ』と話してもおかしくないですからね。
‡ポイント‡
“音楽を創る”とは音を扱う作業であって、マウスやキーボードの使いにくさなどに左右されたくない!
そんな問題を解決するのがフィジコンです