機材入門 第1回~MTR

MTR(えむてぃーあーる)

正式名称「Multi Track Recorder(まるち とらっく れこーだー)」。
高額のRecスタジオでしか出来なかったマルチトラックによるRecを、個人でも出来るようにした夢の機械。

かつてはTeac社が発売したカセットテープ式のMTRが主流でしたが、
Roland社のVSシリーズ登場以降はHDD(ハードディスク)搭載の機種が主流となり、
現在はSDカードを使う機種が主流。

その後、DAWの低価格化に伴いMTR派とDAW派に分かれ始めるが、
MTRとDAWの親和性を高め、MTRにオーディオインターフェイス機能を搭載するなどしているため
“スタジオでMTRを使いRec後、PCに繋ぎ編集&追加Rec”という使い方も増えており、まだまだMTR需要は健在。

マルチトラックって?

MTR

図は4トラックのMTRのイメージです。
各パートをそれぞれのトラックにRecします。
このトラックは独立しているので、ボーカルのみ音量を調節したり、ギターのみにエフェクトを掛けたりできます。
そう、マルチトラックの場合“のみに”という作業が出来るのが、一発録りとの大きな差なんです。

各パートの音量バランスを取り、エフェクトを掛けて音質を調節した音はマスタートラックに送られます。
ここでマスタリングと呼ばれる“曲全体の最終調整 ”をおこないます。
マスタリング後の音源は音声ファイル(Wavやmp3など)としてや、機種によってはCDに焼くことが出来ます。

MTR選び

上記の通り、最近のMTRはDAWとの親和性がすごく高いです。
(MTRとしてだけではなく、オーディオインターフェイスとしての機能を持っているものもあります。)
PCに接続して使うことを前提に設計されている機種もありますし、
MTR単体で使えるけどPCに接続するともっと便利という設計の機種もあります。
もちろん、MTR単体ですべての作業が完了する、という機種もあります。
いずれにしろ、MTRを手に入れようと思ったら機能の比較は必須ですよね。

MTRを選ぶときにチェックすべき項目とは

  1. トラック数
  2. 同時録音トラック数
  3. 編集機能
  4. バンドルソフト
  5. 電源
  6. 価格

といったあたりでしょうか。
では個別に解説を。。。

1.トラック数

多いに越したことはないような気もしますが、多いとその分サイズは大きく、重さも増します。
“バンドをやっているから生ドラムをRecする必要がある”というのなら16トラックは欲しいですが、
自宅で簡単な作曲なら8トラックもあれば十分ですし、使い方によっては4トラックでも足ります。

2.同時録音トラック数

一度のRecでいくつのトラックに録音出来るか、を表しています。

たとえば、“ボーカル” ギター” “ベース” “キーボード”の4パートからなる曲をRecするとします。
“2トラック同時録音”の場合、1度に使える録音トラックは2つなので
トラック1にギターをつなぎ、トラック2にベースをつないでのRecが限界、ということになります。
ボーカルやキーボードのRecは、ギターとベースのRec後になります。
“4トラック同時録音”ならば、トラック1にギター、トラック2にベース、 トラック3にキーボード、トラック4にボーカル、
という一発録りも可能です。

しかし、ドラムやパーカッションなどの楽器はそうはいかないんです。

たとえばドラムの場合、2トラック同時録音ならば録り方をけっこう考えなくてはいけません。
4トラック同時録音でも、けっこう頭を悩ませます。
8トラック同時録音くらいあれば、だいぶ楽になります。

つまり、必要な同時録音トラック数は生ドラムをRecするかしないかで決まる、と言っても過言ではないんです。

ギターやベース、ボーカルなどは2トラック同時録音で十分ですし、
4トラック同時録音出来るならちょっと変わったRecも出来るよ、 ていう感じですね。

3.編集機能

MTRでRecした音源をどう編集するか、は好みによります。
「MTRですべてを完了させたい」のか、「RecはMTRで、編集はDAWで」なのか。
ここでいう編集機能とは主にエフェクター類です。
よく使われるのは“イコライザー(EQ)” “コンプ(Comp)” “リミッター(Limiter)”など。
この他、ボーカルには“ボコーダー(Vocoder)”とかも使われます。
人それぞれなんでまったく使わない人もいますが、エフェクター類の充実度は編集に大きく関わります。

各パートの音量・パンについては、操作上の違いはあれど機能上の違いはほぼないと思うので、スルーで。

4.バンドルソフト

最近のMTRはPCとの親和性が高いので、バンドルソフト(おまけ)としてDAWソフトが付いていることもよくあります。
バンドルソフトは基本的にLE版(機能限定版)なので製品版と比べると多少劣りますが十分使えます。
ただし、DAWが自分のPCでちゃんと動くかは試してみないとわかりません。

DAWソフトのメーカサイトにアクセスすれば、30日程度の期限限定とはいえ製品版をダウンロード出来るはずです。
“MTRでRecしてDAWで編集”と考えている方はDAWソフトの動作確認も忘れずに。。。

5.電源

たとえ出先でも思いついたフレーズをメモするようにMTRを使いたい場合は電池駆動する方が都合いいと思います。
バンドRecなどで長時間使う予定の場合はアダプター使用の方がいいと思います。
アダプターは別売りの場合もあるので、要確認です。

6.価格

価格というか予算ですね。
下は20,000円程度から始まり、上は500,000円近くするものまであります。

まず、自分がRecするのは出先か家か、編集するのはMTRかDAWか、CDに焼くのはMTRかDAWか・・・
と項目別に考えると決まりやすいかと。

 

MTRの機能・値段はピンキリ。
どう使うかを考えてから買えば、きっと使いこなせるはず。

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