Demo音源を創る第11回~マスタリング

DAWで見た音の波形
DAWで見た音の波形

本来は複数の曲のバランスを取ったり曲間を決めたりする作業を言うらしいんですが、曲に対する最終処理という意味でも使われている“マスタリング”。
いずれにせよ、ミックスダウンの後には音圧や音量などの最終処理をします。

マスタリングする理由

そもそもなぜマスタリングするのか。
ミックスはそれ専門の機材やDAWでおこない、音を聴くにもモニター用のヘッドフォンやスピーカーを使います。

ではそうやって創られた音が世の中に出た後、どのようにして聴かれるかというと。
iPodなどの携帯オーディオプレイヤー、CDコンポ、TVにつないだDVDプレイヤー、PC、車の中・・・
などなど多種多様で、ミックス時の環境とはかなり違います。

そこでマスタリングです。
すべての再生環境に対応することは現実的に不可能ですが、どんな環境でもアーティストが望んだ音で再生されるように最大限の努力をするわけです。

マスタリングのやり方

用意するものは“音源” “DAWやMTR” “ヘッドフォンとスピーカー”です。
可能ならばヘッドフォンとスピーカーはモニター用とリスニング用を準備すべきです。
モニター用とリスニング用では音の癖がまったく違いますから。

DAWソフトやMTRでミックスダウンした場合、基本的に作業はマスタートラック上で行います。
一発録りの音源をマスタリングする場合は任意のトラックに読み込ませてください。
作業工程はおよそ以下の3つ。

  1. EQで補正
  2. コンプ/リミッターで音圧調整
  3. 必要ならばノーマライズ

1.EQで補正

ミックスでもEQはよく使いますが、個別に掛けたミックスと違ってマスタリングは全体に掛けます。
全体に関わるEQなので、曲のイメージや方向性を考えて掛けます。
スピーカーとヘッドフォンを併用し、少しEQをいじっては確認、いじっては確認を繰り返しベストを探します。

2.コンプ/リミッターで音圧調整

EQ処理が終わったら次はコンプ/リミッターです。
コンプは大きい音は小さく、小さい音はそのまま、という働きをします。
実はこの“コンプ”、使用頻度は高いんだけどなかなか扱いづらいヤツでして。
むやみやたらと掛けるとひどい事になるけど、上手く使えば素晴らしいという。。。

コンプの使用前・使用後
クリックで拡大します。

大きい音(青丸部分)は小さくなり、小さい音(緑丸部分)はそのままの音量です。

リミッターはコンプの1種なんだけど、使用頻度が高いので“リミッター”として独立してます。
任意のレベル(音量)以上の音はカットし、小さい音はそのまま、という働きをします。

リミッター使用前・使用後
クリックで拡大します。

コンプと違い、波のまま小さくするのではなく、スパッとカットするのが特徴です。

コンプにしろリミッターにしろ、小さい音はそのままで大きい音を小さくしますが、
この“大きい音を小さくする”さじ加減が言葉にするには難しいところなんです。
曲によってどれくらいコンプを掛けるか全然違いますから。
掛けてみて確認して、掛けてみて確認して、を繰り返してベストを探すしかないんです。

3.必要ならばノーマライズ

上に書いた通り、コンプやリミッターは大きい音を小さくする働きをします。
よって、音を大きく出来る限界までは余裕が出来るわけです。
そこで、ノーマライズをすることによって曲全体の音圧を上げて、音量も大きくするわけです。

マスタリングの弊害

マスタリング自体は必要な作業なんですが、やり方によっては曲を死なせることにもなりかねません。
コンプを掛けてノーマライズすれば音圧は上がります。
しかしそれは同時に曲中のダイナミクス(最大音量と最小音量の差)が小さくなるということです。
曲が強い音圧を求めているのならいいのですが、ダイナミクスが大きい方がいい曲もあります。
「今の流行りだから音圧を上げる」ではなく、「曲が求めてるから音圧を上げる」「曲が求めてないから音圧はいらない」という判断が最良なのではないかと、老婆心ながら思うわけです。

マスタリングは最終処理。
料理で言うなら、お皿への盛り付け。

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